健康全般

オピオイド(引用多)とフェンタニル

引用多数

オピオイド薬1
米保健福祉省(HHS) によると、2017年に米国では1日当たり平均約130人が、鎮痛剤「オピオイド」の依存症で死亡した。流行の引き金は医療機関による過剰な処方にあるといわれており、米国での処方量の水準は世界的にみても際立って高い。オピオイド被害が経済、産業に与える影響も大きく、官民レベルでさまざまな取り組みがなされている。

オピオイド(opioid)とは、芥子(けし)の実からから採取される天然由来の有機化合物と、そこから生成される化合物の総称。

化合の方法により、モルヒネなどの天然オピオイドのほか、オキシコドンやヘロインなどの半合成オピオイド(semi-synthetic opioid)、フェンタニルなどの合成オピオイド(synthetic opioid)に分類される。

いずれも鎮痛や陶酔作用があり、米国では違法薬物であるヘロインなどを除き、一定以上の疼痛(とうつう)を伴う疾患に対し、医療機関で処方される処方薬である。しかし、同時に常習性が高く、長期の服用や多量摂取で依存症を引き起こし、最悪のケースでは死に至るといった深刻な副作用を伴う。

米国でのオピオイドの流行は、製薬会社の販売促進と医療機関による過剰な処方が引き金となったとみられている〔経済協力開発機構(OECD)〕。オピオイドは1990年代前半まで、主にがんなどによる重篤な痛みに対し限定的に処方されてきた。しかし、1995年に前出のオキシコドン系の鎮痛剤が米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けると、製薬会社により、依存性の低さや安全性をうたった積極的な販売活動が展開され、一般患者向けに鎮痛剤として処方されるようになっていった。HHSの研究機関である米国疾病管理予防センター(CDC)の報告によると、1999年以降5年間で、医療機関での疼痛件数に変化はなかったものの、オピオイドの処方量は約4倍と大幅に伸びている。こうしたことから、2017年の1年間で、少なくとも1度はオピオイドを処方されたという患者数は5,700万人、処方件数は合計で1億9,112万件に上った。また、世界的にみても米国の処方量は際立って多く、2014年から2016年にかけての1人当たりの処方量の平均は、2位のドイツの約1.5倍にのぼった。

経済コストはGDPの2.8%相当
生産活動への影響も甚大だ。2017年の時点で米国の雇用者の7割以上が、オピオイドが従業員の業務に何らかの支障を来していると感じていることが分かった。産業別では、炭鉱、建設、農業など身体的な作業が伴う現場での処方が多く、また被害も集中する。2017年時点で建設業、農業ともに従事者の約15%が依存状態にあり、農業に関してはその21%に家族にも依存者がいることが分かっている。また、ある鉱山では、全従業員が薬物検査に合格せずに解雇された、などといったエピソードは枚挙にいとまがない。

地域別にはこうした産業の集積地での被害が目立つ。依存症による死亡者数をみると、炭鉱が盛んなウェストバージニア州が全米で最も多い57.8人(人口10万人当たり)、続いて、オハイオ州が46.3人、ペンシルバニア州が44.3人、ケンタッキー州が37.2人、デラウェア州とニューハンプシャー州がそれぞれ37.0人となっている。

オピオイド薬2
オピオイド問題とは何か?

 オピオイドとは、ケシの実から生成される麻薬性鎮痛薬やそれと同様の作用を示す合成鎮痛薬の総称である。麻薬性鎮痛剤の中でも、ケシの実から採取されるアヘンから生成される(natural opioids)モルヒネは日本でも広く知られている。半化学合成物(semi-synthetic opioids)には、オキシコドンというものもあり、モルヒネと比べると約1.5倍の鎮痛作用がある。合成化合物(synthetic opioids)にはフェンタニルなどがある。フェンタニルはモルヒネの50〜100倍の鎮痛効果をもたらす。

 以上のものは、日米両国で手術中に使用したり処方したりすることが認められており、中度から重度の痛みに対する鎮痛剤として処方される。怪我などに起因する慢性の痛みや、手術後の痛み、末期ガンからくる痛みへの薬として使用される。

 オピオイドの効果は痛みを緩和するだけではない。摂取することで脳内の喜びをコントロールする箇所が刺激され、一時的に幸福感を感じる。

 しかしネガティブな副作用も伴う。オピオイドには、吐き気、呼吸抑制、意識レベルの低下などの副作用が認められている。それに加えて深刻なのは、多量に摂取すると常習性が生じ、一度に過剰に摂取すると死に至る恐れもある、という点である(アメリカでは、2015年には処方薬が原因となり22,598人が死亡している)。

 オピオイドの中には、モルヒネを原料とするヘロインも含まれる。しかし、ヘロインはその危険性から日米両国で非合法の麻薬とされている。

 オピオイド問題が深刻になってきた背景には、処方された鎮痛剤が「ゲートウェイドラッグ」になってしまったことがある。すなわち、合法的に処方された鎮痛剤の継続的な摂取によって常習性を生み出してしまい、その結果非合法な方法でオピオイドを入手したり、ヘロインのような非合法な薬物に手を染めたりしてしまう、ということである。

なぜ今なのか?

 アメリカの麻薬性鎮痛薬との戦いの歴史は長い。1860年代の南北戦争の時には、モルヒネが戦場で広く使用され、その後兵士たちの依存症が問題となり、規制の重要性が認識された。

 その後、1898年にモルヒネよりも安全な鎮痛剤としてヘロインが開発された。しかしその後すぐにヘロインの危険性が高いことが認知されたため、ヘロインは1924年にアメリカ国内での生産・販売が禁止された。

 他方、オキシコドンが1917年にドイツで開発され、アメリカでもモルヒネの代用として使用されるようになった。商品名としてはオキシコンチンやパーコセットがある。

 現在のオピオイド系鎮痛剤の蔓延には様々な要因がある。製薬会社側の要因を一つ挙げるとすれば、重要なのは、1995年にパデュー・ファーマ社がオキシコンチンを常習性が低く安全な鎮痛剤として積極的に広報・販売し始めたことである。これによって、多くの医師が同薬を処方するようになり、依存症になる人々が徐々に増加していった。

 連邦政府は2007年になって、オキシコンチンについて誤った宣伝を行ったという内容で、パデュー・ファーマ社に対し訴訟を起こした。同社と幹部3人は過失を認め、約6.3億ドルの賠償金の支払いを命じられた。

 しかし、オキシコンチンを「ゲートウェイドラッグ」とする薬物依存症の蔓延は止まらなかった。オキシコンチン依存症になった人々は、より安価なヘロインや最近は特に少量で劇的な効果があるフェンタニルを不法に入手するようになり、大きな問題になっている。

 近年のオピオイド問題の広がりの背景には、社会的、経済的、政治的な文脈も存在する。そして同時に、この問題はアメリカ社会、経済、政治などの行方にも影響を与える。

オピオイド薬3

オキシコドン。
がんの痛みを患った方やそのご家族にとっては、比較的知られた名前だと思います。
痛み止めに用いられる医療用麻薬であり、オピオイドという薬です。医療用麻薬は多くが、身体の中のオピオイド受容体という部位に作用して効果を発揮します。そのため日本では、一部の薬を除き、医療用麻薬とオピオイドは重なります。

オキシコドンは2015年に、トヨタの元役員が国際宅配便の小包に同薬剤を入れて輸入した疑いで逮捕された事件もあって、その際も話題になったので、それで知っている方もいるかもしれません。

このオキシコドンを開発したアメリカのメーカーであるパーデュー・ファーマが破産申請したと数日前に報じられました。
米パーデューが破産申請、オピオイド問題で多数の訴訟に直面
上の記事タイトルにあるように、“オピオイド問題”での訴訟でパーデュー・ファーマは破産申請に至ったのです。

いったい何が問題になっているのでしょうか?
アメリカの深刻なオピオイドの乱用
結論から言えば、パーデュー・ファーマはあの手この手で、オキシコドンを売ろうとしたのです。
オキシコドンを常習性が低く安全な鎮痛剤として積極的に広報・販売したのでした。

製薬会社の様々な施策と、それに影響された医師や政治家ばかりではなく、アメリカの医療制度の特徴、制度、文化、社会経済的傾向がすべて医療用麻薬の乱用に貢献してしまったという見解もあります。

そしてこの状況は日本とは正反対と言えるものです。それなので日本には当てはまらない事象ですが、アメリカではそれが起こってしまったのでした。

結果、どうなったか。
オキシコドン等の処方された医療用麻薬を求めていた人たちは、次にヘロインに、その次に現在はフェンタニルに流れ、2017年にはオピオイドの過剰摂取で4万7千人以上が亡くなっているというのです。
ヘロインもフェンタニルも同じオピオイドですが、フェンタニルは量あたりの効果が強いので、危険性が高いです(注;日本で処方薬を指示された用量を守って使用するのと違い、乱用した場合の話です)。

しかも興味深いのは、このフェンタニルがどこから来ているのか、という点です。
メキシコを経由していますが、アメリカに流れてくるフェンタニルのほとんどは中国で生産されていると米国当局者は指摘しています。

昨今、米中の貿易摩擦が報じられていますが、フェンタニルについてもトランプ大統領と習主席の会議で話し合われ、中国側は規制を約束するも、実際は実施していないとのこと。大国同士の関係は一筋縄ではいきません。日本のがん患者には当てはまらない

先述したように、日本とアメリカはかなり状況が異なります。

元々日本は医療用麻薬の適正使用量と比べると、実消費量が少ないことが知られています。
世界の中でも、我慢する傾向が強いのです。

がんの患者さんは幸いにして、指示された一般的な使用法を遵守する限り、「やめられない止まらない」状態になるリスクは非常に低いです。私も2000人以上に医療用麻薬を処方してきましたが、がんの痛みがある患者さんの場合はいないに等しいです。

そのメカニズムは、動物実験では確かめられており、「炎症のある痛み」の場合は依存が形成されにくいことがわかっています。がんの痛みはしばしば、炎症によっての痛みであるため依存は形成されにくいです。

けれども痛みは炎症から来るとは限りません。
特にがんではない原因からの慢性痛の場合はしばしば、炎症などが原因ではなく、脳の変化が関連しているとされています。

このような場合は、医療用麻薬の使用が適正ではないケースも多くあります。

アメリカではそのような痛みにまでオピオイドを使用し、様々な社会的な状況も後押しして、今に至るわけです。

日本では、がんでもがんでなくても、押しなべて医療用麻薬の使用に慎重姿勢でしたので、現在オピオイド薬のまん延は起きていません。

がんの痛みがある患者さんはもっと安心して医療用麻薬を用いて良いと考えます。

一方で、がんではない痛みには従前通り慎重に判断し、薬だけではなく理学療法や心理学的アプローチなどを組み合わせてゆくことが大切でしょう。

薬のみならず様々な方法を行ってゆくことが重要だとされているためです。
まとめ【がんの痛みの医療用麻薬治療は安心して受けて頂くのが良いでしょう】

しばしば諸報道で流れる、アメリカのオピオイド事情、すなわち「依存者や死亡者が増え社会問題化している、それなのでオピオイドはとても危険!」という話は、日本では現状当てはまっていません。

北米などの海外の情報をもって、日本のがんの痛み治療で使用されるオピオイドまで同じに考えないことが重要です。

安心して治療に臨み、痛みはくれぐれも過少申告しないでしっかり緩和されるようにしてください。

また今の所は、日本で医療用麻薬が広範な痛みに関して見境なく使われるようになることは考えにくいです。

けれども、医療用麻薬指定ではないオピオイドのトラマドールやブプレノルフィン、また医療用麻薬やオピオイドではなくても神経痛の治療薬のプレガバリンなどは、整形外科等の広い診療科で処方されています。

痛みは複雑で、特に慢性の痛みは痛み止めだけですっきりいかない場合もありますし、長期使用の弊害が上回ってしまうこともあります。

一方で、積極的に医療用麻薬を使用してもメリットが上回るがんの痛みなど、様々な病態がありますので、ぜひ専門家(がんの痛みならば緩和ケア医、がんではない慢性の痛みならばペインクリニック医や痛み外来の医師など)によく相談し、適切な治療を受けるようにすると良いでしょう。

薬は使い方が肝心で、悪い条件が揃うと依存が社会問題化する―その怖さを改めて教えてくれるのが北米のオピオイド危機です。

一方で日本は世界の中でもその対極の位置にあり、北米の状況をもって医療用麻薬は怖いと判断するのではなく、がんの痛みに正しく使用する限りにおいては怖くない、我慢を止め痛みから解放されることがより良い生活の質につながる、という事実がより知られると良いと考えます。

フェンタニル

フェンタニル (Fentanyl) とは、主に麻酔や鎮痛、疼痛緩和の目的で利用される合成オピオイドである。

フェンタニルの効果は、同用量モルヒネの100–200倍、ヘロインの50倍で、極めて強力な鎮痛・鎮咳作用を有する

アメリカ合衆国での処方薬に端を発して死亡者が増加しているオピオイド危機は、そのほとんどがフェンタニルまたはフェンタニル誘導体の合成オピオイドである。

2015年の合成薬物による死者数は前年より7割も多い約9600人で、その大半がフェンタニル型。中国で製造され、ネット通販などで米国に流入しているとの指摘もある。米国は薬物の過剰摂取による死者数が自動車事故の死者数を大きく上回り、トランプ次期大統領の重要課題の一つにも挙げられている。

また中国は、米国に次ぐ世界第2の製薬産業を抱える。なかでも、低価格のジェネリック医薬品や薬の原材料の生産に頼っており、規制も緩い。

DEAによると、中国の業者がフェンタニルなどを大量生産し、数年間で数十万もの偽装薬物を普通郵便で米国に送り込んでいるという。詳細な量は把握されていないが、中国からメキシコやカナダに渡り、米国に持ち込まれるものもあるという。暗号化されたメッセージアプリやビットコインなど仮想通貨の普及も、こうした取引の温床となっているとされる。

中国からのフェンタニルの流入は、オバマ政権時代から問題視されてきた。中国は15年、フェンタニル関連を含む100種類以上の合成化学物質を規制対象リストに加えているが、わずかに構造を変えただけで規制から外れるため、「いたちごっこ」になっている。

オピオイド:基本

オピオイド
製品例 : オキシコンチン錠5mg~

基本的には「がん」の痛みを抑える薬

【働き】

激しい痛みは心身を疲弊させ、平穏な日々を送るのに何よりの障害となります。このような痛みを無理にがまんする必要はありません。

このお薬には、痛みをおさえる強力な作用があります。とくに持続する鈍痛に効果が高く、一般的な鎮痛薬が効きにくい各種のがんの痛みに有効です。初めから使うのではなく、他の鎮痛薬で十分な効果が得られないがん性疼痛に限り用います。

有効成分のオキシコドンは、ケシの実から採取されるアヘン由来のテバインから半合成されます。作用のしかたは同類のモルヒネと同様ですが、代謝物の違いなどから副作用が多少軽減されます。吐き気や便秘、せん妄、かゆみなど、モルヒネに比べれば少ないとされます。また、腎障害時においても比較的安全に使用できます。

※ロキソニンは直接痛みに作用し、即効性があるが、
胃痛、腎臓に悪影響がある

※このような時には、「オキノーム」が
 量は少ないが即効性があり救急薬としては
 良好。